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時計の針をを6年前に戻して、私がまだ柏のお店でバリバリに働いていた頃。
仲の良いスタッフの林田ちゃんが、いつもは違支店での勤務にされていたのだが、柏へと移動して来た。
「おはようございます、本日も1日宜しくお願い致します。」
出勤して来た私は、事務所のドアを開けた所でいつもの様に頭を下げて挨拶をする。
「いつみさ〜ん!」
黄色い歓声にも似た声が返って来て、驚いて顔を上げると、笑顔の林田ちゃんが手を振って挨拶をしてくれていたが、「こら!」
と、言う店長の1声で笑顔が申し訳無さそうな顔へと変わる。
店長を無視して、「林田ちゃぁん!久し振りぃ!」
と笑顔で手を振り返すと、店長も諦めた様に口を閉じた。
女性達の荷物が置いてある、パーテーションで区切られたスペースへと入ると、林田ちゃんが懐っこく付いて来た。
私と一緒に出勤して来た篠ッチは自分の席へと着いてパソコンを触り始めている。
「今日からまた柏に戻って来れました、宜しくです。」
コソコソと声を落として私へと話し掛ける林田ちゃん。
「そっか、良かった、また宜しくね。」
私も声を落として笑顔で返す。
「携帯料金払えなくて止まってますけど、何かあったら連絡して良いですか?」
そう言われて、ビックリした。
一旦林田ちゃんをデスクへと返し、持っていた封筒へ2万円を入れて隠して持ちながら、コッソリ林田ちゃんをパーテーションの方へと呼ぶと、2万円の入った封筒を林田ちゃんに握らせて、「小さな子供がいるのに、お母さんの電話が止まってたら、子供に何かあった時にどうするの?これで払って来なさい。」
封筒の中身を見た林田ちゃんは「有り難うございます〜!払って来ます!」
と言って、店長に断って1度事務所を出た。
「それは返さないで良いからね。」
そう言った私の声が届いたのか、度どかなかったのか、分からないが、林田ちゃんは急いで事務所を出て行った。
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