お客さん②

170/171

6588人が本棚に入れています
本棚に追加
/196ページ
仕事は、何度か会ってるお客さんで、自宅への出張だ。 行き慣れた自宅の玄関のドアをノックすると、見慣れた顔が開かれたドアの間から見えた。 「やっぼ〜!」 「いらっしゃい。」 玄関で靴を脱いで慣れた部屋へと入って行くと 「今日はプレイは良いから」 「え!?何で!?」 「まぁ、良いから座って。」 そう言われて何時もの場所へ座ると、玄関のドアをノックする音が聞こえて。 「え!?」 と、慌てて驚く私に「ちょっと待ってて」 と言ってお客さんが玄関へと向かう。 玄関で何やらやり取りをして、部屋へ帰って来たお客さんの手には、Mサイズのピザがあった。 一緒に食べようと思って頼んでたんだ、 「良いの?」 丁度夕食を食べ損ねていた私にとっては、なんて素敵なサプライズ。 お客さんが箱を開け、ピザを1枚取って口へ運ぶ、結局お客さんは2片だけ食べて、 「後のこれノルマね。」 そう言って殆んど残ったピザを私の前に差し出す。 こんなに食べれ無いよ!と言う私の講義も虚しく、お客さんは聞く耳を持たず、 「はい、食べて。」 そう言って私にピザを押し付ける。 確かにお腹は空いていたが、Mサイズのピザを半分以上も食べれ無いよ! でも、折角頼んでくれたんだから、となんとか頑張ってピザを頬張り始めた私を、楽しそうにお客さんが見詰める。 結局3片食べた所で私はギブアップの旗を揚げた。 「本当に食べないね。もっと食べないと体力付かないよ?」 「食べなくても体力はあるから大丈夫、有り難う。」
/196ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6588人が本棚に入れています
本棚に追加