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「コホッコホッ…それで、何の用ですか…?」
お兄ちゃんは、そこで真剣な顔をして、私を下ろしてマスターさんの方に押し出した。
「このギルドで、この子……サクラを保護して欲しい」
「え……?」
いきなりの提案。
考えが及ぶ前に胸に広がる悲しさ。
だけど二人は私のことなんか気にも止めずに話を進める。
「……見ての通りこのギルドは立地も悪くて…一応帝都だけど、末端だし……ギルド員も…私と…受付の子だけで…寮もないの…残念だけど……」
「設備が整えば良いんだな?」
「コホッ…それは、まぁ…」
その言葉を聞くと、お兄ちゃんはギルドの中心に立った。
瞬間、ユラリ…とお兄ちゃんを包む白いオーラ。
お兄ちゃんは、決して大きくは無いのに、良く響く声で呟いた。
「『輝くが良い。俺が、許可しよう』」
瞬間、私の目には幻が映った。
「え…?あれ……?」
突然、白く光輝くギルド。
淡い光の中で、ギルドは形を変えていく。
「なに……これ……!?」
マスターさんが驚愕に顔を歪めている。
私は、驚き過ぎて声も出ない。
私は夢を見ているのだろうか?もしくは、別の場所に移動したのだろうか?
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