兄妹――きょうだい――

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―――5年前――― 兄が18、わたしが13の時だった。 奏多は、昔から運動も勉強もできて、容姿もそれなりに整っており、交友関係が広く友達も多かった。 まさに絵に描いたようなパーフェクト人間。 そんな兄が一番得意にしているものは、音楽だった。 小さい頃からずっとトランペットを習い、 「俺、音大に行きたいんだ。」 当然の言葉だ。 両親は、反対こそしないものの、少し難しい顔をした。 それだって当たり前のことだ。 成宮家はごくごく一般の家庭。 国立大学でやっとなのに、ましてや私立等、余裕なんてどこにもなかった
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