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それでも。
奏多は、両親を前に床に頭をつけて、 必死になって頼み込んだ。
そんなことされたら、親はたまったもんじゃないのだろう。
『お金はどうにかするから、精一杯やってみなさい。』
そう微笑みながら。
その言葉がよほど嬉しかったに違いない。
上げられた兄の顔の歓喜に満ちた瞳を。
今まで見たこともないその表情を。
私は今でも鮮明に覚えている。
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