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「そっか。」
私の曖昧な返事に、なんて事もない返事が返ってくる。
でも、何でそんなこと…
私は視線を地面から隣を歩く兄へと向けた。
その横顔からは、真意を読み取ることは出来ない。
そのまま歩いていると、兄が口を開いた。
「中学時代もあっという間だけど、高校時代もあっという間だからな。
やりたいことがあるとないとじゃ、毎日が全然違う。
俺の経験だとな。」
私は意図がわからぬまま、兄の言葉に耳を傾ける。
「でも、お前位の年で夢持ってるやつの方が少ない。
俺だってもてなかった。
だからさ、」
ふと立ち止まり、笑って私を見た。
「やりたいことがあるって、それだけですごいと思うよ。」
その顔は、いつもより弱々しく見えた。
滅多に見れない表情に
思わず笑ってしまった。
「あはは!かなにいらしくないよ。
緊張してるの?」
その言葉に兄は苦笑した。
「そうかもな。」
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