黒い影

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そう言って立ち上がる母を引き留めた。 「まって!! 今日のことかなにいには言わないで?」 母は目を丸くして私を見た。 「えっと…自分で言うから。」 そう。自分で聞かなければ。 あの男の言葉。 《声出さなければ何にもしないよ。 手ぇ出したら奏多に起こられちゃうしね。》 男は、奏多とはっきり言った。 なぜ、かなにいの名前が出てくるのか。 自分で確かめて 安心したいんだ。
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