兄妹――きょうだい――
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スーツの下、黒い手袋をはめている右腕に、そっと手を添えた。 かける言葉を失ってしまう。 そんなこんなであたふたしている私を見て、奏多はいつも通り、柔らかく微笑んだ。 「そんな顔するな。 お前は別に何にもしてないだろ?」 すると兄は、いきなり「よしっ!」と言って席を立った。 「時間やばいだろ。遅刻するぞ!」 ハッとして、私は時計をみる――… 「え?……あぁぁぁぁ!! 」
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