真夏のスコール

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7月のお天気が2週間も続いたある土曜日。 お昼を過ぎた頃、突然空が薄暗くなったと思ったら、いきなりの豪雨。 しまいには稲光と間髪を置かずに地に響く雷鳴。 ゲリラ豪雨。 最近はシトシト降る雨より、こういう豪快な雨が多い。 突然の雨に慌て、蜘蛛の子散らすように駆けだす人たちをよそに あたしはいつもバッグの底に忍ばせている折りたたみ傘を取り出す。 荷物にはなるけど、こういう時に役に立つ。 備えあれば憂いなし。 心の中でそう呟き、ほくそ笑む。 それでも、お気に入りのミュールが濡れてしまうのを気にしながら、あたしは目的の駅へと急いだ。
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