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びしりと言い切る荒絹の表情に……私に対する軽蔑の色が見える。
この女は――私を心底軽蔑し、拒絶している。
この女だけが――私の本質を見抜き――拒絶している。
私の中で――じくりと何かが首をもたげた。
――この女を――徹底的に快楽で追い詰めてやりたい。
「とにかく、ご苦労様でした。報告書と情報はこちらで預かり、分析します」
そうして机の上にある書類とCD-ROMを取ろうと彼女が腕を伸ばした時だ。
パシッ!!
彼女の手首を強く掴む。
「……なんのつもりですか?」
彼女の表情は全く変わらない。けれども、彼女の目の中に一瞬の狼狽が見えたのを見逃さなかった。
「あんた……いっつもつれないよな……。ねぎらいの言葉がそれだけ?」
「……他に何が? それよりも。また飲んでますね? 私は酔っぱらいの相手をするほど暇じゃない」
「本当につれないなぁ……。私に抱いて欲しいって言い寄る女はたくさんいるんだよ? 私と部屋で二人っきり……。他の女なら狂喜乱舞するね」
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