261人が本棚に入れています
本棚に追加
「どうぞ」
嘲笑いながら、耳元で囁く。
「私に押さえつけられて、なぶられてる現場を見られたら……明日からの任務に支障をきたすんじゃない?」
彼女の髪を結んでいる紐を――ゆっくりとほどく。
はらりと髪が広がる。
「……あんただってわかるだろう? 組織の中で、出世すれば妬まれ疎まれる。……あんた、一部の連中から自分が相当嫌われてるの知ってるだろう?」
耳を啄むようにあまがみすると、彼女が声を上げた。
それは男の欲望を刺激するには充分すぎる程の甘い声で。
「……あんた、すごい感じやすい身体してんだな。……意外と淫乱体質なのかな?」
「違っ!!」
「まぁ……ゆっくりと楽しみましょうか? 荒絹隊長」
そうして、見せつけるようにして懐から筆を出す。
「……何を?」
怯えたように私を見る。
彼女の目まぐるしく変わる表情。
ここで、誰にも見せたことのないであろう彼女の多彩な表情。
最初のコメントを投稿しよう!