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今――私だけに見せている表情。
それが『嫌悪』であろうと――私だけに向けられているものだと思えば――甘美な感情で満たさられる。
「何って……。隊長が言いたくなるまでこうするだけですよ」
そう言いながら、首筋からゆっくりと筆を這わせる。
「……っ!!……あっ!!」
彼女の背中がはね上がる。
「やぁ!! やめ……!!」
「なかなか男泣かせな反応してくれますね、隊長。他の男どもに見せてやりたいですよ、これは」
胸の頂に筆をやり、小さく動かすと、彼女が息を詰まらせるようにして、身体をしならせた。
「やだ!! こんなの……やだ!! お願いだから……やめて!!」
もどかしいまでの快楽が彼女を襲っているのだろう。
そこにいるのは死番と呼ばれ、畏怖の対象としての気高い彼女の姿はなく――
快楽に流され、屈しようとしている――女がいるだけだった。
「……いいですよ? やめてあげても」
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