絶愛

17/28
前へ
/30ページ
次へ
今――私だけに見せている表情。 それが『嫌悪』であろうと――私だけに向けられているものだと思えば――甘美な感情で満たさられる。 「何って……。隊長が言いたくなるまでこうするだけですよ」 そう言いながら、首筋からゆっくりと筆を這わせる。 「……っ!!……あっ!!」 彼女の背中がはね上がる。 「やぁ!! やめ……!!」 「なかなか男泣かせな反応してくれますね、隊長。他の男どもに見せてやりたいですよ、これは」 胸の頂に筆をやり、小さく動かすと、彼女が息を詰まらせるようにして、身体をしならせた。 「やだ!! こんなの……やだ!! お願いだから……やめて!!」 もどかしいまでの快楽が彼女を襲っているのだろう。 そこにいるのは死番と呼ばれ、畏怖の対象としての気高い彼女の姿はなく―― 快楽に流され、屈しようとしている――女がいるだけだった。 「……いいですよ? やめてあげても」
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

261人が本棚に入れています
本棚に追加