絶愛

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荒い息で呼吸を整えながら、上を見上げれば。 隠し持っていたナイフで戒めを断ち切り――同じように荒い息で私を睨んでいる彼女の姿があった。 「……さすがだな、どんな状況に陥っても、逆転のチャンスは逃さないってわけか。死番の名前はだてじゃねぇな……。快楽によがり狂っても死番は死番ってわけね?」 彼女が隠し持っていたであろうナイフを拾い上げ、差し出しながら皮肉を込めて笑う。 彼女がその手を強くはじく。 ナイフがカランと軽い音をさせながら、遠くに弾き飛ばされた。 「……出ていけ」 威嚇するように彼女が言う。 「今日のことは不問にふしてやるから……早くここから出ていけ」 その言葉を聞いた瞬間、笑いがこみ上げ、喉の奥でククッと笑う。 「……何がおかしい?」 怒りを抑えながら、彼女が私に問う。 「“不問”……ねぇ」 そうして、ゆっくり彼女の方を見る。 「不問にふすしかないでしょ?」
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