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『二度と私に近づくな』
この言葉の通り、彼女の私への拒絶は徹底していた。
それは誰が見ても不審に思うぐらいに。
不審は疑惑を呼び――疑惑は醜聞を生む。
『あの襲名クリエイターと死番隊長はできている』
羨望と嫉妬の入り交じった醜聞――。
それでも彼女が私への態度を変える事はなく。
何も知らない女たちは荒絹をなじりながら、私を慰め、何も知らない男たちは私をなじりながら、荒絹を崇拝する。
そして私は――甘美な感情にうち震える。
皆、否、荒絹でさえ気づいてないだろう。
彼女が私を憎めば憎むほど――私は彼女にとって『特別』な存在になっていく。
私を思い出す度に――彼女はその肌で“あの時”の全てを思い出す。
人を激しく憎む事は――愛によく似ている。
彼女にとって――唯一無二の存在。
もっと思い出せ。
肌に滑る私の感触を。熱を。
もっともっと私を感じろ。
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