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荒絹が……あの女が襲名クリエイター?
「……あり得ないだろ」
「マジだってば!!」
苦笑する私に女が口を尖らせて、抗議する。
「アタシも最初聞いた時びっくりしたんだけどさぁ~。ガチで治安維持部隊を裏切って、襲名クリエイターになったって!! それも本人から連絡があったらしいよ」
女の話を黙って聞く。
「六代目毒婦マチルダになったとか言って!! しかもあのノートリックスの隠れ家に居て五代目光姫琥太郎と一緒にいるとかって!!」
毒婦マチルダ……光姫琥太郎……。
治安維持部隊で知らない者はいない――『粛清』から多くのクリエイターを救った英雄。
襲名するクリエイターでさえあの女らしいと思う反面、もう一つの感情が私を支配する。
『光姫琥太郎』
ノートリックスの総帥。危険を省みず、自らが表に立ち、この時代に立ち向かう事を選んだ男。
また、選ぶ男もあの女らしいっちゃあ、らしいが……。
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