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仲間のクリエイターの事――隠された禁書の事――
その様子を見ながら、私の心が冷めていくのがわかる。
手にして居た筆を置き、女から離れた。
女が不安気に私を見る。
「……どこに? 解放してくれるって……」
ああ、と言いながら、女を冷たく見据える。
「解放なら……この人たちがしてくれるでしょ」
記録を取っている男たちの方を軽く顎で示す。
「……火照った身体を慰めて欲しいなら……この人たちに頼みなさい」
そして……これ以上ないぐらいの優しい微笑みを返す。
「まさか……このまま無事に帰れるなんて……“クリエイター”の私がなんとかしてくれるなんて……甘い事考えてる訳じゃないよね?」
瞬間、女の表情が一変する。
期待から絶望へ――絶望から軽蔑へ――
――ああ、この眼だ。
この眼が見たかったんだよ。私を蔑むこの眼――。
無気力に自堕落に生きる私を認めてくれるこの眼――。
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