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「この……狗が!! 権力に媚びへつらって生きる狗に……ほんの少しでも期待した私がバカだったわ!!」
「そうだね、私も……快楽に堕ちた女に……心が屈した女に興味はない」
それだけ言うと、部屋を後にした。
私の後ろから女の叫びが追ってくる。
“クリエイターの誇りを忘れた狗”
そんな声が追ってくる。
――誇り。
誇りだけで飯が食えれば世話はない。
クリエイターの誇りが生きていく上で何の役に立つ?
私は――生きていることが実感できればそれでいい。
“ここ”は実感ができる。
狗と罵られ、そう言われれば言われるほど――私は存在価値があるのだと――喜びにうち震えることができるのだから――
だから――私は“狗”でいい。卑怯な“狗”でいい――
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