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――しかし、相変わらず“格”の違いというか……エリートの巣窟だな、ここは。
治安維持部隊本局――
かすりの着物をだらしなく着流し、酒の臭いをさせている私に何人かの男が迷惑そうに視線を投げる。
『ここはお前のような男が来る場所じゃない』
だが、はっきりと私に言うことは出来ない。
地位的な立場で行けば、彼らの方が上だが、私に逆らうことは出来ない。
彼らのスペアはあっても、私のスペアはないから。
『治安維持部隊側の襲名クリエイター』
それは貴重な存在だから――。
私を拒絶出来ない男たちをバカにするように鼻で笑っていると、一人の女が近づいてきた。
「お待たせしました、ユウ様。荒絹隊長がお会いになるそうです」
荒絹と言う名を聞いて、ほんの少しだけ身体の芯が熱くなる。
「そう」
女に気取られないように、その場から離れようと動いた。
「あの……執務室まで案内を」
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