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私を軽蔑しながら、私の事を勘違いしたまま愛する女たち――。
なんの感情もわかない。
ただ、その勘違いした様を見るのが楽しいだけ。
“ここ”の女どもになんの感情もわかない。
……ただ、一人をのぞいて。
一つの部屋の前に立つ。
壁にかかる小さなプレートを見る。
『四番部隊長執務室』
禁書法特務治安維持部隊の中でも最強と呼ばれる四番部隊。
別名『死番部隊』
精鋭揃いの部隊とその任務の過酷さについた別名。
その部隊を率いているのが――
「荒絹隊長。ユウです。入ってもよろしいでしょうか?」
名前を呼んだ瞬間、身体中が熱くなる。
「……どうぞ」
中から聞こえる凛とした声。
ゆっくりと扉を開け、中に入ると……そこに居るのは一人の女。
黒の隊服に身を包み、長い髪を一つに纏めたその姿。
化粧っ気の少ない顔。
けれども、その姿は誰をも寄せ付けないような美しい姿で――
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