第1話

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ボールが、 跳ねて、滑って、飛んで。 太陽の光が水面を照らして、ときたま吹く風が水面を揺らす。 思い通りに動かなくなってくる足も、腕も、頭も。 真っ白になりかける脳内でなんとか理解できる程度の、高度な作戦も。 全部が好きで、だけど。 この苦しさを一番知ってるって、私は言えるほどの努力をまだしてない気がする。 水上のハンドボール、水中の格闘技。 そんな、別のちっちゃいスポーツに例えんなよ。 邪魔くさい通り名なんかなくても、このスポーツが一番おもしろいって。 水球。 立たなくていい、浮いてろ。 浮いて、ボールと仲間とジャッジだけ気にしてろ。 真っ青な空の下、水とボールと人が織り成す、究極の水中球技。 それが、水球。 .
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