第2話

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『ただ真っ直ぐな、君の声が欲しいだけです!』 そんな謳い文句で誘ってきたのは、水球部だった。 「声?なんで運動部なのに声なの?(笑)」 「アレじゃない?ほら、掛け声みたいな(笑)」 「やっば(笑)それはダサすぎ(笑)」 すぐ横で話しているのは、同じ1年の女子だった。 これくらいの年の連中にありがちな、一生懸命を蔑む言葉。 全力を馬鹿にして、必死になってる奴を必死になって嘲っている。 私は、そういう奴等が嫌いだ。 「ダサいと思うんなら、気にしなくて良くない?ダサいと思わない人だけに向けた言葉なんだろうし。」 「はぁ?なんなの?盗み聞き?趣味悪~(笑)」 「聞かれたくない話なら、もっと声を潜めたら?」 「なんなの、まじ。超意味わかんない。」 「ほっとこ。どうせ部活で青春したいとか思うようなマジメちゃんなんだから。」 「そうだねー。」 分が悪くなればすぐ逃げる。 群れて仲間意識を持って、誰かの陰口を叩いて、自分が標的にならないように話を合わせるだけ。 卑怯で、卑劣で、醜くて。 やっぱり、私はそういう奴等が嫌いだ。 大嫌いだ。 私はため息をついて、もう一度、水球部の勧誘ポスターを見つめた。 .
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