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水球。
私にとって、新しい響きではなかった。
昔から身近に感じていたこの競技は、私が唯一努力しようと考えたスポーツだった。
「……白波学園、水球部か。」
全国大会の常連校だ。
男女共に粘りの強いディフェンスラインが売りで、この学校のキーパーは世界でも通用する実力者だと言われている。
飛沫は、関東の中学リーグでは負けなしの実力を誇ったチームの元メンバーだ。
そんな飛沫を含むチームのメンバーは、その大半が強豪校への進学を決め、例に漏れず、飛沫もこの白波学園への入学を決めた。
声が欲しいだけ。
水球というスポーツは、水中でやることから、派手な水飛沫と、その音で、視覚と聴覚を塞がれるスポーツである。
だからこそ、声が欲しいのだろう。
1つの声出しが、攻めの起点になることはよくある。
または、その声だけで流れを引っ張り、終始主導権を渡さずに試合を終えることも可能だ。
飛沫は、このスポーツを小さい頃からやってきた。
誰よりも泳いだ自信がある。
誰よりも投げた自信がある。
誰よりも、たくさんの敵と対峙した自信がある。
その自信を持って、飛沫は水球部の活動場所であるプールに向かった。
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