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門の前に来ていた。
高さ5メートルはあろうかというほどで、煌びやかな造りではあるが、圧迫感が強い。 今にも倒れてきて、押しつぶされそうだ。
そんなことはないだろうがな。
「うわー!!! でっけーー!!」
突然の騒音。 音のする方を見てみると、もさっとしたものが本来、人間の頭部である位置についているものがいる。
……人?
「仕方ない、登るか!」
しばらく観察していると、その毛玉は器用に門を登り始めた。
猿みたいだな…… 猿と毛玉じゃあ名前が二つになってしまうし、猿玉?
いや、あれは武器みたいなもんだし……
「何をやっているんですか?」
門の内側から聞こえてきた綺麗な声。目を遣ると、白い印象の顔の整った男。
どうやらこの学園の生徒らしく、俺と同じ制服を着ているが……良く見ると少し男の方が華美だ。
「うわぁああ!? 危ないからよけろー!!」
いきなり声をかけられたことに驚いたらしい。 落ちている。
猿も木から落ちる……
あ、名前………………………………マリモ!!
「気に入りました」
名前を考えて目を離していた隙に、状況が進展していた。 全体的に白い印象の生徒がマリモにキスをしている。
「────っ!!ふざけんなっ!」
今度はマリモがキレて生徒を殴り飛ばした。そのままどこかに走り去る。 生徒は……
わぉ、見事に気絶していらっしゃる!
放置するのもどうかと思ったが、少し離れた草むらから誰かが見ているので構わないだろう。
こういう変態とは関わりあいたくないし。
俺も放置して門を登り超え、校舎とは思えないほど大きな建物へと向かうことにした。
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