第3章 もう1つの出会い

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主人の母に、 「まずは、あなた遺産は放棄してね。ただのサラリーマンの娘だと聞いた時は、反対するつもりだったけど、うちは男三人居るし、あの子は言い出したら聞かないから、仕方なく許したけど、実家のお金はあてにしないでね。」 と、言われたのだ。 ただ、まだその時の私には、子供が出来ないと思っていた為、結婚して頂けるだけで有り難いと思っていた。 「はい。」 私は、三つ指をついて首部をたれているだけしか出来なかった。 その頃の私は、子供が出来ないのに結婚してくれたというだけで、また別れた彼より早く結婚したかったそれだけで、何を言われても他の感覚は麻痺していた様に思う。 今思うと……。 「お金目当てではないだろうか?」 「家柄が不釣り合い。」 「花嫁衣裳を着てても、あんたのお母さんのが綺麗だったわ。」 「お父さん似で可哀そうね。」 「裕晃はどこがよかったのかしら?」 など、かなり酷い事も言われたのだか、不思議と何とも思わなかった。 主人と始まった新生活は、穏やかなものだった。 主人の事は嫌いではなかった。 お互い言いたい事は言い合えるし、全てにおいて気を遣う事もなく、まるで血縁関係の様だった。 お化粧の嫌いな主人だからお化粧もせず、服も露出が嫌いなのでトレーナーやTシャツで充分だった。 気取る必要も無理をする必要もなかった。 真面目な主人はお酒もタバコものまず、家と会社を往復する毎日。 主人は、帰って来てから私が寝た後もゲームばかりしていた。 私の父はお酒やタバコでかなり家族に迷惑を掛けられていたし、お金を使わず家でする趣味だからとゲームにはさほど気にはならなかった。 私は結婚はこんなものだと思っていた。 私は料理が趣味だった為、新婚当時はいろいろ作ったが、主人は野菜はほとんど食べられなかった。 またお魚やお肉もあまり食べない。 好き嫌いの多さには驚かされた。 でも子供もなく暇な私はそれさえも野菜をすったり、出汁をとったり、1日中工夫してお料理して気付かず食べてくれるのを見るのが楽しかった。
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