第4章 骨折…心も折れて…

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久しぶりにお風呂につけた右足に血が通う強い痺れと痛みを感じたが、その日はギプスが外せる様になった幸せに、これから起こる辛さや痛みや苦労を知るすべもなかった。 それから2週間の間も、お風呂に入る以外はギプスシャーレをして過ごし、家事も娘との日常も快適に過ごしていた。 知識がない怖さ、筋肉を使わずにかれこれ2ヶ月以上いる怖さを知らずに……。 2週間後、整形外科に受診して最後のレントゲンを撮った。 まだ少し欠けてる様に写った骨。 でもスッパリ折れてた時とは違い、隙間が薄く幕がはった様に見えた。 「まだ完全では無いですが、使ってるうちに強度も増してくるでしょう。もう固定はしなくていいですよ。これで卒業と言うことで……おめでとう。」 と、おじいちゃん先生が笑った。 今日に限っては、一度もギプスシャーレは外さず、看護士さんがレントゲンの時に外して、終わってから包帯と共に巻いてくれたまま、先生は触らず・見ずで、私は骨が着いた喜びで笑顔のまま整形外科を後にした。 自宅に戻り、主人の潔癖症の習慣で、骨のついたお祝いにと、昼間から桜とゆっくりお風呂に浸かった。 さぁお風呂を出て、今日から普通に歩くはず……だった。 立てない! 歩けない! 下着すら着れない! 今までは、治ってないからとお風呂では椅子を使い、お風呂を出たら用意した椅子に座りながら洋服を着て、その場でギプスシャーレを着けてたので、気づかなかったのだ。 立とうとしてもバランスがとれない! 歩こうと頑張っても痛みもあるし、足首も動かない!!! 心の中で悲鳴を上げながら、取ったギプスシャーレを包帯で巻いた。 すぐ近くに、もう不用と思っていた器具を引っ張りまた足を乗せて移動した。 桜は不思議そうに、 「あれ?ママ治ったんじゃないの?」 と言いながら、手慣れた感じで私の進む先のドアを開けてくれた。 しばらくして帰宅した主人がまだギプスシャーレを付けてる私を見て、 「昼間、ギプス取れたってメール来たのになんでまだギプスしてんの?」 と言った。 立てないと話すと、主人も骨折の知識がなく???としばらく考えて……。
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