第4章 骨折…心も折れて…

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自分の気持ちに気付いてしまった。 私は院長先生が好き。 こんな思いは、昔もあったのだろうか? 私は自分の顔にも体型にも何もかも自信がないから、物心付いた時から自分からは恋はしないと心にロックを掛けていた。 短大時代の彼も主人も、何故こんな私を選んでくれたかはわからないが、私が地味で家庭を守るのと、料亭で働くには料理好きで丁度良かっただけだと、自分では思っている。 それにOL時代上司に、お酒の席で同期の綺麗処を眺めながら、 「大塚は顔も地味で目の保養にはならんが、まぁ家で飯炊いたり掃除が似合うぞ。綺麗な女は浮気でも楽しめるからなぁ。綺麗な女は金かけても側に置きたいが、不細工程度の女は家庭に限る!」 今思い出しても、涙が出そうになるけれど、自分に自信もなかったし、その上司の言った通りだと、その時の私は……、 「はい。ありがとうございます。結婚出来るなら嬉しいです。」 なんで? 何故笑ってたんだろう? だから自分から進んで恋はしない事にしていた。 ふられて傷がつかない様に、恋する手前で自分なりの気持ちを流すすべを知っているつもりだった。 なのに、結婚して17年が過ぎ、40歳を過ぎて、まさか恋をするなんて! 思わず油断してしまったのだろうか? 自分の気持ちに気付くと、次に襲って来た苦しみは、主人や桜に対しての罪悪感。 真面目過ぎる私は、想う事さえ浮気に値すると、胸に突き刺ささる苦しさに1人涙を流した。 このままではいけないと、必死に主人や桜との生活に幸せを追い求めた。 もちろん桜との生活は掛け替えのないものだったが、主人は相変わらずゲームばかりしていた。 ある日、リハビリを兼ねて主人と桜と大型ショッピングセンターに買い物にでかけた。 足が浮腫パンパンになり、包帯がめり込んで激痛が走った。 ある意味お産より痛くて、もう一歩も動けなかった。 主人は先に歩いて行ってしまった為、桜が私の異変に気付き、 「ママァ~ママァ~大丈夫~?」 目をぐしゃぐしゃにしながら泣き出した。 「うん……大丈夫。パパ呼んで来れる?」 携帯を掛けてもつながらない……小さい娘だけれど助けてもらわなくちゃ動けない。 「ママ歩けないから、パパに車椅子借りて来て欲しいって伝えて?」 桜は泣きじゃくりながら、頷き主人を探しに行ってくれた。 その間も足は切れてしまうかの如く痛んだ。
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