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痛みに顔が歪む。
しばらくして、桜が1人戻って来た。
「パパ、今ゲーム良いところだから待っててだって!」
私は足の痛みより、心の痛みの方が大きくなった。
(院長先生……。)
心の中には、院長先生しか映らなかった。
しばらく待つと、車椅子を借りて主人が来た。
「誰が座ったかわからないのを押すのも触るのも嫌なんだけど!」
明らかに機嫌が悪いのがわかる。
「ほらっ!」
と、目の前に車椅子を出されても痛みに耐えてた私は立ち上がれない。
主人の腕を掴んで立ち上がろうとした時、パシッ!手を払いのけられた。
「汚いなぁ~!」
プチン!
私の頭の中で何かがはじけた。
夫婦として連れ添った長さは長いので、
私は主人を怒鳴りつけ、暴言も態度も謝らせた。
その後は家族揃ってレストランで食事はしたが……。
もう私の心は主人に戻っては来なかった。
(院長先生……。)
自分の気持ちに気付いても、どんなに思っても、0%の確率もない届かない思い。
立場も年齢も……。
何もかもが不釣り合い。
所詮私は、子持ちの主婦。
院長先生から見たら、ただのおばさんであり患者の1人に過ぎない。
たその変えられない事実が胸に突き刺さり足以上に心が苦しくて辛い日々が始まった。
骨折以上に心が折れそうだった。
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