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それからも、平日は出来る限り毎日通院をした。
でも、いつも人気がある院長先生は他の患者様のご指名に忙しい。
私は指名はしなかったし、出来なかった。
いつも、担当してくれる若い先生は常に一生懸命で、私がもし結婚して間もなく子供を授かっていたら、この位?
息子の様に思え応援していた。
しかも私の初恋の人に似ている。
初恋と言っても、院長先生を思う今は……。
きっと私は今まで恋をして来なかったとわかる程、恋はこんなに苦しいものなんだと知っちゃったけど……。
バレンタインが訪れた。
娘とバレンタインのクッキーを焼く。
娘の友達や友人、主人、主人の実家、自分の両親、お世話になってる人……毎年恒例行事になっている。
私のクッキーを皆んなが誉めてくれるから嬉しくて。
今年も頑張って焼いた。
院長先生に食べて欲しいなぁ……。
でも気持ちに気付いている今、渡す勇気はない。
そんな気持ちを知らない桜は、
「ねぇ!ママ~!クッキー少し頂戴。ママを治してくれてる院長にあげるの!」
と言った。
「えっ???」
内心ドキドキしながら、
「うん……いいよ。」
とクッキーを袋に詰めラッピングした。
桜は、時々一緒に通院する。
ディズニーのDVDを見たり、絵本を見たりして、楽しいらしい。
前に幼稚園で転んで帰って来た時も、院長先生が薬を付けて治療してくれた。
桜にとっても院長先生は別格らしい。
しょっちゅう
「院長好き~~~。」
と言っている。羨ましい限りだ……。
バレンタイン当日。
桜を連れて通院した。
受付さんにクッキーを渡し、
「娘からです。少しですが、皆さんで召し上がって下さい。」
と渡した。
桜が、
「院長にだよ!」
と好き好き光線を出すかの様にピョンピョン跳ねながら、受付の向こうの院長先生を探してる。
「こらっ!桜。皆さんでだよ!」
と言うと、受付の中尾さんが、
「桜ちゃん、見る目あるね~。院長カッコいいもんね。」
と言った。
少しだけ胸がざわめいた。
診察の順番が回り、いつも通り若い先生……滝沢工先生が施術に入った。
「クッキーありがとうございます。」
カルテに
『大塚さんからバレンタインにクッキーを頂きました。』
と、中尾さんからのメモ書き。
通院していて、わかること……。
院長先生はとても人を大切にする方。
思いやりの心を持ってる方。
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