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「あの、娘を、娘を助けて頂いてありがとうございます。」
深々と頭を下げ、娘を抱く温もりに安堵しながら、助けて下さった白衣の人を見上げる。
身長は180㎝をゆうに上回るだろうか……。
まだ年若いお兄さんだった。
ニコッ。
白衣の人は、大きな二重の目が三日月の様になり、口角がキュッと上がって、少し高めの柔らかい声で、
「無事で、何よりです。」
と、少し首を傾げて笑った。
また、ふぁ~っと風が吹いた。
12月、クリスマス間近……。
雪が降りそうな位寒いのに、何故か温かく感じた。
気持ちが落ち着いて、腕に抱かれた娘に、
「なんで、ママの手を離して走ったの?ダメじゃない!車に引かれたらどうするの?」
と、声を荒げると……。
娘は、
「あのね、ピカピカのお星様とサンタさんが居たの。」
と、指差した。
娘の指差した先には、確かに大きなツリーと動くサンタクロースの人形があった。
「じゃあ、僕も謝らなきゃね!今、あのツリーとサンタクロースを置いてたのは、僕だから!」
白衣の人は、まだ泣き止まない娘にウインクしながら、イタズラっ子の様な笑顔を向けた。
娘は、その笑顔にまだ涙で濡れた瞳のまま、ニコッと笑った。
娘に、怪我がない事を確認して、運転手のおばさんも白衣の人に挨拶をして運転をして帰った。
おばさんにも、申し訳なくて深々と頭を下げて車を見送った。
白衣の人も仕事中の様なので、改めてお礼をさせて頂こうと考えながら、一旦帰ろうと思い挨拶の為に、白衣の人に向き直った。
その途端、ズキンと足に激痛が走った!
そのまま、娘諸ともしゃがみこんでしまった。
白衣の人が、片手で娘を抱き上げながら、もう片方で私を支え言った。
「あの、ツリーまで歩けますか?あそこ、僕の経営する接骨院なんです。良かったら診察しますよ?緊張したのと、安堵から力抜けたんじゃないかな?」
何から何まで申し訳ないと思いながらも、あまりの痛みにお願いする事にした。
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