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まだ、出来たばかりなのだろうか?
接骨院には見えないセンスの良い一軒家に招待された様な玄関だった。
「どうぞ。」
白衣の人は、ニコッと微笑みスリッパを出してくれた。
でも履けない位痛い。
私がよろけると、白衣の人は、腕をさっと掴んで肩をかしてくれた。
「大丈夫ですか?」
白衣の人のその問いに、足の痛みだけでなく、心も苦しくなり答えることが出来なかった。
ただ痛みに顔をゆがめ、赤くなり、下を向いていた。
次のドアを開けると、壁一面に照らされた間接照明がユラユラと淡いブルーの色調を放って、まるで海の中にいる様な不思議な空間に入り込んだ。
そこは、暖かい待合室だった。
白衣の人は、
「もうすぐ、午後の診察が始まるので……。」
と、言いながら待合室にあるキッズスペースに娘を下ろし、
「ディズニーは好き?僕はピーターパンが好きなんだ。見る?」
と、聞いた。
「うん。好き!」
すっかり泣き止み、娘は嬉しそうに答えた。
笑顔で答えた娘に、ピーターパンのDVDを見せてくれた。
そして待合室に座る私に白衣の人は、
「どこが、痛いですか?」
と、聞いた。
「あの……。右足が痛くて」
と、言うと……。
痛む箇所を診察してくれた。
しばらくして、怪訝そうに……。
白衣の人は、
「お母さんが、転びましたっけ?」
と聞かれた。
「いえ……。でも……。助けに飛び出した時、縁石に足を引っ掛けた様な?」
と言うと、
右足小指付近を少しズラす動きをした。
「いっ痛い!!!」
激痛に顔をしかめると……。
「骨折してるかもしれません!うちは接骨院でレントゲンは撮れないので、整形外科を紹介します!レントゲンを撮って下さい。治療は僕が出来ると思いますが、整形外科でもどちらでも治療を受けるのは患者様が選べます。ただ歩けないと思いますので……。」
と、一気に言いながら、受付らしき若い綺麗なお姉さんに声を掛けた。
「多分、骨折してる。お子さんもいらっしゃるし歩いて帰れないだろうから近くの整形外科に車で送ってあげて!骨折は早期治療が大切だから!受付は僕がしとくから。終わったら、お家まで送ってあげて!整形外科は待つし、お子さんも疲れちゃうだろうから!」
と、指示を出した。
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