第12章 クリスマス

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届いているはずのクリスマスプレゼント。  何の連絡も返事もない。 そう、『さよなら』の手紙だったのだから。 これで良かったんだ。 クリスマス当日……。 私は仕事の帰り、デパート中庭の噴水前。 凍える寒さで、周りには誰も居ない。 噴水の音にかき消されるのを幸いに声をあげて、子供の様に泣き続けた。 涙はいつかれるんだろう? 一時間以上……、涙が溢れるままに泣き続けた。 電話の着信音。 「もしもし?」 「ママァ~?今日はサンタさん来る?」 桜だった。 「うん。桜は良い子だから、きっと来るよ♪ママもうすぐお迎え行くからね。」 私の気持ちを取り戻してくれる宝物。 桜。 かけがえのない愛娘。 今日はクリスマス。 クリスマスのパーティーを毎年楽しみにしている。 さあ、母親なんだから、しっかりしなきゃ! デパートで材料を買い、ケーキも作り桜の笑顔を見よう。 今年は仕事で覚えた沢山の料理を作ろう。 主人と桜の為に! これでいい。 私にはサンタクロースは来ないのだから。
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