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『で、そんなに不細工な顔してるのね。』
『やっぱり、ひどい?』
朝起きてな鏡を見たら、私じゃない私がいた。
目蓋は腫れて、かみ過ぎた鼻は赤い。周りの皮膚も若干剥けている。
千紘に不細工と言われても否定できないくらいだ。
『でも、頑張ったよ。本人目の前にして、ちゃんと仕事こなしてたんだから。社会人としては当たり前だとしても、辛かったでしょ?』
『……うん。』
宮瀬さんは、これまでと変わらずに来社した。
ここで働いている限り、いずれは会うことになるって分かっていたけど、今度がこんなに早く訪れてしまって。
『こんにちは、果名さん。』
って、昨日のことがなかったように接せられる宮瀬さんが、私には衝撃的だった。
打ち合わせのために予約の部屋へ案内する間、何を話していいか分からなくて。
話しかけてそっけなくされたらショックだから、気持ちをグッと堪えて。
『……もう少々お待ちくださいませ。』
『果名。』
先に話しかけてくれたのは、宮瀬さんだった。
一礼して下げていた頭を上げて、改めて見る宮瀬さんは、もう昨日のような切ない表情をしていなくて。
『俺、果名のこと好きだからね。それは、本当だから。』
……私も好きだよ。
お互いに好きなのに。
会おうと思ったら会えるし、それを邪魔することも見当たらないのに。
どうして宮瀬さんは、私の気持ちに応えてくれないんだろう。
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