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会社帰り、駅直結のカフェ。
窓の外を行き交う人たちは、みんな疲れた顔をしていて、楽しそうな人を探す方が難しい。
千紘は恵斗さんとうまくいってるらしく、仕事後にデートをすることが増えた。
よって、私は他の友達と会う。
『果名、久々ぁ!』
『英絵(はなえ)、なんか大人っぽくなったね。』
『それ、老けたって言いたいの?』
『違う、違う!似合ってるよ、黒髪。』
学生時代からの友人と、久々のガールズトークも悪くない。気を紛らすにはうってつけだ。
でも……やっぱり、埋まらないの。
『あ、あたしティラミスにしよーっと。果名は?』
店員さんが持ってきてくれたメニューを英絵と一緒に覗き込む。
『んー、あたしはドリンクセットで……。』
『俺、ミルクレープ。』
背中側から聞こえた声に、思わず首を傾げる。
視線だけをなんとなく向けてから、英絵と顔を合わせてすぐに戻した。
だけど、私の中で何かが引っ掛かって。
それに気付くまでは、もうあっという間だった。
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