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その声の持ち主を確かめたいのに、振り向く勇気はとっくに過去に置いてきてしまった。
実際に、宮瀬さんに会えたとしても話しかけることが出来るのかすら、いまの私は微妙だ。
宮瀬さんから話しかけてきてくれたらいいのに、気付いてくれたらいいのになって、希望を持ってばかり。
だから、こんなちょっとしたことにさえ、こんなにも動揺しちゃうんだ。
少しずつ視線を上げて、窓ガラスに映る後ろを見ると、テーブルの上で軽く組まれた手。
大きな特徴のある手じゃなかった。ほくろがあるとか、とても大きいとかじゃない。
ただ、とても綺麗で。
幾度となく触れてきた指は、真っ直ぐだったんだ。
瞳、手、温もり、香り。
力強さ、感触、髪、吐息。
宮瀬さんのパーツが、私の中に残ったままで、苦しいよ。
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