はじまりの夜

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『よかった……。間に合って。』 突然、真っ白な滲んだ視界に、赤くてまぁるい靴が現れた。 『……誰?』 顔を上げると、サンタクロースの格好をした、知らない男。 ……怪しい。怪しすぎる。 『ごめんね、遅くなって。』 『あの……人違い、じゃないですか?』 髭なしサンタクロースの男は、さらに1歩私に近づく。 その分私も1歩下がったけど、クリスマスツリーのイルミネーションにブーツの踵がぶつかった。 『メリークリスマス、果名。』 優しく微笑みながら私の名前が告げられると、そっと手が包まれて。 見知らぬサンタは手のひらに小さな箱を置いて、来た道を戻っていった。
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