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夜の繁華街。
もぐらは待ち合わせ場所に向かっていた。
今は待ち合わせ時間の30分前。
待ち合わせ時間10分前には待ち合わせ場所に着くだろう。
車は近くの有料駐車場に停めて、待ち合わせ場所まで歩いてきた。
デート相手の強い要望で、指定された場所で待ち合わせして会うことになった。
待ち合わせ場所についた。
目印の前で呆然と立ち尽くす。
もぐらの前を多くの人が右に左に通り過ぎていく。
まだまだ繁華街を歩く民衆は尽きることなく天下の往来を歩いている。
相変わらず女性たちの視線がもぐらに注がれている。
長身の眉目秀麗。スタイル抜群。派手ではないが体型にあった、そこそこ有名なブランドのスーツを着こなしている。
大概の女性は二度見する。
そんなわけで、本来ならば、もぐらにとっては苦痛でしかない空間である。
こんな所で立って待っていろなどと、ほとんど罰ゲームである。
しかし、これは自らが提案し、交わした約束。
かなり我慢してでも会わなければならない。
しかも、デートの相手は「男」だった。
もぐらは、男どころか女にも全く性的な興味がない。
・・・というより持てない。
デート自体苦痛なのだが、まして相手は男。
楽しめる要素は微塵もない。
その「男」が現れた。
「男」はもぐらとは正反対で、めちゃくちゃいい笑顔をしている。
あいも変わらず中性的で整った顔。均整のとれたスタイル。
着ている服もそのスタイルの良さを引き立てていた。
周囲の女性達は、小畑真琴という名の「男」を通り過ぎると真琴を振り返って見ていたりする。
そんな真琴が大きな声で言う。
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