セウンデ村

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 セシルが久方ぶりに故郷であるセウンデ村へ帰ろうと思ったのは、遠く離れた港町ベルーシにまで、セウンデ村の不穏な噂が届いたからであった。  活気溢れる港町を出て、一路故郷を目指し街道を歩く。  ベルーシから遠くなるにつれ、道は未舗装の砂利道に変わり、人の往来も減っていった。  やがて砂利道もなくなり、地面に草と土が露わになった頃、セシルはセウンデ村に到着した。  半年ぶりに踏む故郷の土は足に優しく、一瞬、幼少時の思い出が脳裏をよぎったセシルだったが、すぐに村の異変を感じ取った。  セウンデ村は、人口わずか百人程度の小さく貧しい村だが、そこで暮らす人々はおおらかで、ゆったりとした空気の流れる居心地のいい所である。 ……いや、所であった、という表現が今はしっくりくるのかもしれない。
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