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目的の家は、しっかりとそこに建っていた。
セシルは僅かに安堵の息を漏らしたが、足をゆるめることなく、一気に家の中に駆け込んだ。
「親父!お袋!」
長い年月を経て傷んだ木製の扉を、壊れるほどの勢いで押し開ける。
半年前に帰った時と変わらない、古いけれど小綺麗に整理された居間がセシルの目の前に広がった。
――が、そこにいるであろう見慣れた家族の姿がなかった。
「親父!お袋!」
セシルはさらに大きな声で家族を呼んだ。
「ミシェル!レオ!いないのか!?」
じわじわと広がる恐ろしい予感を必死で否定するように、セシルは声を振り絞った。
「ロビン!アイリー……」
――ガチャリ。
叫び続けていたセシルの耳に、ドアノブの回る音が飛び込んできた。
ハッとして、セシルは音の出所に視線を向けた。
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