出会い

7/15
前へ
/15ページ
次へ
「うおおおっ」  セシルも吠えた。  そのままモンスターの懐へ飛び込もうとしたセシルだったが、次の瞬間、モンスターがその巨体をさらに大きく広げ、セシルの頭上から振りかぶる様に襲ってきた。  ――ザシュッ! 「……くっ」  苦痛の声をあげ、セシルは横へ跳んだ。  モンスターの振り下ろした爪が、セシルの腕をかすめていた。  服が裂け、うっすらと血が滲んでいる。 「ちょっと、大丈夫!?やっぱりあたしが……」  それまで黙って見ていた少女が、そう叫んで駆け寄ろうとした。 「来るなっ!」  セシルは、モンスターを睨みつけたまま大声をあげた。  少女の足が止まる。 「かすり傷だ。それ以上近づくな」  不満そうに眉を歪める少女を無視して、セシルは呼吸を整えた。  じりじりと、モンスターとの間合いを詰める。  傷を負ったモンスターは呼吸荒く、しかし隙なくセシルを威嚇している。  
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加