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「うおおおっ」
セシルも吠えた。
そのままモンスターの懐へ飛び込もうとしたセシルだったが、次の瞬間、モンスターがその巨体をさらに大きく広げ、セシルの頭上から振りかぶる様に襲ってきた。
――ザシュッ!
「……くっ」
苦痛の声をあげ、セシルは横へ跳んだ。
モンスターの振り下ろした爪が、セシルの腕をかすめていた。
服が裂け、うっすらと血が滲んでいる。
「ちょっと、大丈夫!?やっぱりあたしが……」
それまで黙って見ていた少女が、そう叫んで駆け寄ろうとした。
「来るなっ!」
セシルは、モンスターを睨みつけたまま大声をあげた。
少女の足が止まる。
「かすり傷だ。それ以上近づくな」
不満そうに眉を歪める少女を無視して、セシルは呼吸を整えた。
じりじりと、モンスターとの間合いを詰める。
傷を負ったモンスターは呼吸荒く、しかし隙なくセシルを威嚇している。
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