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村の広場は、人で溢れかえっていた。
さっきまでの、村全体を取り巻いていた陰鬱な雰囲気はすでになく、皆がモンスター退治を心から喜び、明るく、陽気であった。
酒屋は酒を樽で用意し、好きなだけ飲めと皆へ配っていた。
食堂の店主は次から次へとおいしそうな料理を出し、村の住民は飲んで食べて踊って騒いだ。
あのオヤジ、食料たっぷりあるじゃないの。
食堂の店主を睨みながら、サラはチッと舌打ちをした。
「サラ」
そこへセシルがやって来て、サラの隣に腰をおろした。
「ごめんな。長旅で疲れているだろうに、こんなうるさい所へ連れて来て」
「別に、こういうのは嫌いじゃないから大丈夫よ」
「そうか?なら、良かった。そろそろお開きになるとは思うが、疲れたら遠慮しないで言ってくれ」
「うん。ありがとう。……ところで」
サラが、一段声を潜めて、セシルの耳元に口を近づけた。
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