深夜の訪問者

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 ――ギイ……ッ。  なるべく音を立てないようにしたつもりだったが、予想に反して木の扉は大きく軋んだ。  その音に顔をしかめ、サラは息を潜めた。  薄暗い家の中はしんと静まり返っている。    誰も起きる気配はない。 サラはほっと息をつき、気を取り直して寝室を出た。  先程から感じる正体不明の気配。 嫌な予感がする。  サラは1階へと下り、慎重に玄関の扉を開けた。  その途端、ゴオッと一陣の強い風が吹き抜ける。 「――っ!」  その突風にサラは一瞬瞳を閉じた。  ――ザザザザザ。  ザザ……ッ、ザザザ――。  葉音は、徐々に大きく近づいてきている。  サラは目線だけで葉音の正体を探った。
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