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「お姉ちゃんが、僕のクロを殺したの?」
黒い影は、サラの質問には答えずに逆に質問をしてきた。
サラの眉間にシワが寄る。
暗闇に慣れてきたサラの目に映った黒い影は、思いの外小さかった。
「ねえ。そうなの?」
幼稚な声。
サラは目をこらして黒い影を睨みつける。
一歩、サラに歩み寄った影は、ちょうど月の光を浴びてその姿を現した。
「……え」
サラは目を見開いた。
月の光のもと正体を現した黒い影は、幼い男の子だった。
「ねえ。お姉ちゃんが、クロを殺したの?」
呆然とするサラへ同じ質問を繰り返す男の子は、セシルの弟たちと変わらぬ年齢に見えた。
「答えないってことは、イエスってことでいいのかな」
言葉が出てこないサラを睨みつけ、男の子はゆらりと両手をあげた。
「じゃあ、死んじゃえ」
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