0人が本棚に入れています
本棚に追加
桜の並木道が桃色一色に染まる初春、俺は三年通った中学を卒業した。お世話になった恩師、後輩達に別れを告げ、今は卒業式の帰り道を親友の赤坂悟留と歩いている。
「にしても、三年ってあっという間だな」
悟留が卒業証書を入れる筒をぽんと鳴らしながら言った。どことなく、三年間を懐かしみながら言ったように感じる。
「そうだな」
「高校も決まったし、来月が楽しみだ!」
悟留とは四月から同じ高校に通う。受験までの半年間、悟留からどうしてもこの高校に通わなければならないからと言われ、ほぼ毎日勉強を教えていた。その甲斐あってか、成績があまりよろしくない悟留も無事に合格した。
「で、何で悟留はこの高校じゃないといけなかったんだ?」
「え、何でってお前、制服可愛いし、何より女の子多いじゃんか! 何当たり前なこと聞いてんだよ」
世の理を諭すような真顔で言い切った。なるほど、あれだけ勉強を教えたのにコイツの馬鹿は相変わらずのようだ。
俺達が入学する秋園高校は最近共学化したため、男女比は圧倒的に女子が多い。それを狙って選ぶ男子も多いと聞いてはいたが、ここにも一人いたようだ。
最初のコメントを投稿しよう!