04.原因は夜更かしです

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  「なるほどねー。片想いなんだ?」 「な……!」 再びの問い掛けに、私は思わず大きな声を出してしまった。 同時に、その声を聞きつけただろう篠原さんが、キッチンからヒョコッと顔だけ出す。 「ど・う・か・し・ま・し・た・か?」 口パクで問い掛ける篠原さんに、私は無理矢理作った笑顔で首を振った。 それより、何で其処まで読まれてるの?! 携帯を握る手に変な汗が滲んで、つるりと滑り落ちるそれを、慌てて拾い上げる。 「あ、痛ぅ……」 素早く動いた為なのか、走る鈍痛に今日何度目かの頭を抱えるポーズで固まった。 『あれ、もしかして何処か具合でも悪かった?大丈夫?』 電話越しのその口調に、僅かな真面目さが混じった気がする。 『ごめんね。それなら今日は良いや。また連絡する』 「そうしてもらえると有難いです……」 頭痛のせいもあるけど、この状況でこの男と話なんかしてて、篠原さんに変に誤解されるのが嫌だった。 抑揚の無い言葉で締め括る私は、キッチンの方が気になって仕方ない。 片想いかあ……。 そうなんだよね。 扉から漏れてくる蛍光灯の点滅する光が、何だか今の燻っている自分を表しているみたいで溜息が漏れた。 『それじゃ……と、そうそう、体調悪いなら本なんか読んでないで早く寝なきゃ駄目だよ?』 改めて突き付けられた言葉で凹む私に、まるで子どもにでも言い聞かせるような穏やかな声が届き、そして電話は途切れた。
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