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――チャラリーン。
枕元で突然鳴り響いた電子音。
まだまだ微睡みの雲海をふよふよ漂っていた私は、一気に其処から急降下した。
誰だよ、こんな朝っぱらから。
重たい目蓋を開ければ、意外にもカーテンからは朝日が射し込んでいた。
私はボサボサの髪を撫で付けながら、充電器に繋がれた携帯を手に取る。
ボケーっとする頭と、緩慢な動作。
時計表示を見れば、もうすぐ七時になるところ。
何だ、もうそんな時間だったんだ。
睡眠妨害だと発信者に湧きかけた殺意を丁寧にしまっていると、タイミングを見計らったように目覚ましアラームが鳴った。
私は、アラームを止めてから新着メールを開く。
《おはよう。朝早くにごめんね。今日の夕方、予定通りで大丈夫かな?》
未登録アドレスからのそれには、ご丁寧にも件名に『倉橋だよ』などと添えられ――何となく此方の電話帳が筒抜けな気がする。
けど、まあいいや。
私は、予定に関しては特に問題ない旨を打ち込み、さっさと返信した。
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