123人が本棚に入れています
本棚に追加
更衣室の扉を閉めた瞬間、私は大きくため息をついた。
ガックリ項垂れるようにロッカーの戸を開ければ、洗剤と汗の匂いが混じった独特の香が鼻を刺激する。
よく、男子高校生の更衣室が臭いなんて言うけど、女子は女子で結構な匂いだと思う。
香水、化粧品、制汗スプレーなんかも単体なら良い香だけど、混ざるとキツイ。
私は手早く制服を脱ぐと、通勤用のブラウスに袖を通す。
…………。
何であそこまで普通に振る舞えるのかな……。
ボタンを留めつつ考えるのは、朝と先程の篠原さんの態度について。
本当にくどいけど、「気にしないで」と言ったのは私だけどさ。
もうちょい、気まずさの欠片くらい有っても良いんじゃない?
あー、もう!
腹を立てるのはお門違いって分かってても、苛々してしまう。
私はさっさとスカートのホックを留めると、鞄と傘二本を手に更衣室を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!