123人が本棚に入れています
本棚に追加
負い目からのあの態度……かあ。
そんな風に考えると、多少は腹立たしいのも治まるような気もする。
それに、苛っとしながらも心の片隅では、素っ気なくされたり、腫れ物でも扱うように気を使われるよりマシだと思っているのも事実だった。
あれだけ危惧していた、「気まずさ」や「人間関係が壊れる事」も――――それこそ私さえ気にしなければ、今まで通りに毎日を送る事ができる。
多分頭では納得してるんだとは思うけど、心が追い付いていないだけ。
だから、腑に落ちなくて苛々して、言い掛かりみたいな文句ばかりが溢れ出して……でもそれが好きになった方の弱味なのかもしれない。
向島さんの言葉を反芻しながらグラスを傾ければ、何故か先ほどよりも酸っぱさを感じ、私はこっそりため息をついた。
「まあ、すぐに納得できる話でもないと思うが……それより俺、あんたに一つ謝る事があるんだ」
空になったグラスに手を伸ばす向島さんは、やや神妙な面持ちで此方をチラっと見た。
最初のコメントを投稿しよう!