02.気付いた男も手を握る

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◆◇◆ 「ちょ……なんで、こうなるんですかっ」 カーテンから漏れてくる、淡い人工的な光に浮かぶその影。 頭の先でカチャリと響く、何かを置いたらしいその音。 風を切る音と一緒にほんの数秒だけ増す外からの光に、遮る物が無くなった彼の瞬きが見える。 「なんでって、そうしたくなったからだけど……」 再び静寂が訪れれば光も落ち着いた様相を見せ、薄暗い室内に戻る。 見下ろしてくるその表情は、未だ目が慣れてこないせいかよく分からないけど、近付くそれが、私の唇に触れた。 「嫌?」 耳朶に、柔らかく噛み付いてくる歯の感触と、吹きかかる息遣い。 私は、肩を竦めるようにしてそれをかわしつつ、その頬を両手で挟んで制止する。 「嫌とかじゃなくて……明日も早いんですから」 「うん。分かってるんだけどね」 「だったら……」 ――追い返してくれなきゃダメだよ? 前に、そんなこと言ってましたよね!? 私は抗議の声を上げながら、尚もその頬をぐにっと押さえた。
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