02.気付いた男も手を握る

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◆◇◆ 「それにしても、今日はごめんね?」 「あ、いや別に気にしてないですし、倉橋さんが謝る事じゃないです」 「んー、まあそう言ってくれると有難いんだけど……山上に関しては、ちょっと部内でも色々あってね」 「色々?」 通された個室のお座敷で、ぬるめのお茶を飲みながらの会話。 話題に上がるのは、やっぱり昼間の一件について。 渋そうな顔で謝罪の言葉を口にする倉橋さんは、今まで見てきた――所謂オフの状態の彼とは違って見える。 何だか少し哀愁というか、疲れが滲み出ているというか……。 身近で言えば、サービス残業をする時の所長が醸し出す雰囲気に似ている。 勿論、悪い意味じゃない。 頑張ってる人の一瞬の弱音というか、うまい言葉が見当たらないけど、兎に角「色々大変そう」なその様子。
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