02.気付いた男も手を握る

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「そう、色々」 「色々……というと、やっぱり顧問の孫という辺りの?」 先程の一件で、噂話の信憑性には疑問があるけど、火の無い所には煙も立たないと思う。 「ああ、山上顧問の事も、有るには有るんだけど、どちらかと言うと、山上本人にちょっとね」 「本人にですか……」 「うん。まあ俺は管轄が違うから直接何かあるわけじゃないんだけど……同僚が結構手を焼いててね」 そこでお茶を飲み干した倉橋さんは、おもむろに眼鏡を外し机の端に置いた。 「同僚さんっていうと……」 「うん。山上の上司なんだけど、俺と同期でさ。いっつも愚痴られるんだよね……」 「…………」 「……って、此処でミズホちゃんに愚痴るのもどうかと思うけど」 小さく息を吐き出した倉橋さんは、肩を竦めて苦笑いを浮かべた。
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